Chamonix から南西に車で下ること10分程 ( 距離にして8km程 )、面積43km²に 3000人強が住む小さな町( 69人/ha ) Les houches レ・ズッシュ。
*ちなみにシャモニーは面積116km²、9000人(76人/ha)
スキーのワールドカップが開催されたり、とスキーステーションとしての方が知名度が高いかもしれませんが、夏にも様々なアクティビティを楽しむことができます。
ファミリー向けのトレッキング、ハイキングコースが多々ある他、チロリアンの楽しめるアドベンチャーパーク、シャモニーとはまた違った角度で山々を見上げながら Lac des Chavants シャバン湖でゆっくりと一日を過ごすこともできます。
15種類以上の山岳動物達を間近に見ることできる Le Parc animalier de Merlet メルレ動物公園に行ってみるのも良いかもしれません。
*Dôme du Goûter ( 4304m ) 経由のクラシカルルートを通りモンブラン登頂を目指すアルピニスト達の出発地点の一つとしても利用されています。
レ・ズッシュにはリフトセンターが2カ所 ( 夏・冬ともに稼働 ) あります。
こちらは レ・ズッシュのセンターに位置する Bellevue ベルビュ ( 美しい眺望、という意味 ) 。
大よそ5分程で1800m地点まで連れて行ってくれます。
終点からは数々のトレッキング、ハイキングコースが出ているほか、Tramway du Mont-Blanc モンブラントラム電車 の終着駅 Nid d'Aigle 二・デイグル ( 鷲の巣、という意味。モン・ブラン登頂はここから始まります ) までモン・ブラン山系を見上げながら歩いて行く事もできます。
そしてこちらは レ・ズッシュ の外れにある Le Prarion ル・プラリオンのリフト。
8人乗りのパノラミックなゴンドラには VTT ( マウンテンバイク ) でも乗車可能。
1900mの終点駅からは360°の展望が楽しめます。
トレッキング、ハイキングコースはもちろん満載ですが、こちらには VTT 用のコース ( 森林の中を走れるのはもちろん、木製の特設コースも設けられている様です )もあり愛好者に大人気。
料金は以下の通り
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往復 | 片道 |
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大人 ( 16 才以上 ) | 16,50 € | 13,50 € |
子供 ( 4 ~ 15 才 ) | 14,00 € | 11,50 € |
ハンディスポーツスペシャル料金 | ||
大人・子供共 | 8,30 € | 6,80 € |
ファミリープラン | 往復 | |
大人2名、子供2名 | 49,50 € (子供一人追加 = 8,00€) | |
マウンテンバイクプラン | 一日利用料金 | |
19,00 € | ||
ぜひ一度行ってみて頂きたいのはこちら、Le Parc animalier de Merlet メルレ動物公園。
レ・ズッシュのセンターから公園入口まで車で10分強、歩いてもレ・ズッシュの国鉄駅から1時間30分程なのでちょっとした散歩がてらにはうってつけ。
標高1500mにあるので行きの上りは若干きついかもしれませんが、帰りは下るのみなので楽ですよ。
(ツーリストインフォメーションセンターで 10€/日 で電動自転車を借りることもできます)
開園日 5月1日~9月30日 ( 5,6,9月 10時~18時 / 7,8月 9時30分~19時30分 )
大人 : 7.00€ 子供 ( 4 ~ 14才 ) : 4.00€ グループ料金 : 15 人からの予約制 大人 : 5.00 € , 子供 : 3.00 €
メルレ公園の特徴は人と動物とを隔てる柵が全くないこと。 その為、以下の規則は厳守しないといけません。
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・杭の打たれた遊歩道以外は歩かないこと。
・動物とは必ず10m以上の距離を取り、決して触ろうとしないこと。
・大きな物音、大声を出したりしないこと。
・決して食べ物を与えないこと。
・ピクニックは公園内ではしないこと。
・ごみは必ず持ち帰ること。
園総面積は20ha。
園内一周コースの所要時間は2時間程。時間のない方には1時間程の短コースも用意されています。
もちろん一日ゆっくり過ごしに来る方々が大半なのですけれども。
園内を回るコースは起伏もほとんどなく、ベビーカーや車椅子でもアクセス可能。
園外にはレストランが併設され、またシーズン中の午後にはイベントが盛り込まれたり、展示場もあるので一日をゆっくり過ごしたい家族連れには最適の場所ではないでしょうか。
マルモットなどは午後に巣穴から出ている姿が良く見かけられるそう。
人間同様ですね、夏の暑い日中には動物達も木陰で休息し、暑さが和らいでくる16時以降から活動的になってくるのだそう。
出来るだけ多くの動物を見たい方は涼しい日、或いは小雨の降るような日を選んで行った方が良いでしょう。
このメルレは、まだシャモニー谷の低い所まで氷河が残っていた時代に一早く年間を通じて人が住み始めた場所。
2,3頭の牛や鶏を飼い、じゃがいもを育てながら冬場をしのいでいた当時。
その後1900年以降に、夏の間の放牧地として利用されるようになってきたそう。
30頭程の牛から採れる牛乳やそれから作られるチーズなどが小屋で販売されるようになったのがここでの観光業の始め。
そして1967年にフィリップ・カシャという方が小鹿や野生ヤギとともに作り上げたのがこの動物園。
現在では15種類、80頭以上もの動物が共存するファミリー経営の園となっています。
実は現在の経営者、私がシャトーブリアン時代に勤めていた工場の直属の上司の叔父にあたるのだそう。
世の中って狭いですね。
以下はこの園で見る事の出来る動物たち。
① Bouquetin ブクタン ( アイベックス )
「アルプスの王」と呼ばれる。年々成長し1m、80㎏の大きさにも成長する角が特徴 ( 雌のそれは15~20㎝ ) 。絶滅危惧種。
人間を恐れないのんきな性格だが、裏腹に急峻な山腹、時にはダムの斜面にも出没する特異な行動範囲は、蹄の内側にある柔らかい肉球が地表面をつかみ取る構造がもたらすもの。
② Chamois シャモワ
体調110-130cm。肩高70-85cm。体重25-62kg。
頭部から咽頭部にかけての体毛は白く、眼から側頭部にかけて黒い筋模様が入る。
オス、メス共に最大でも20cm程の短く先端が鉤状になる黒く短い角を持つ。
総標高差1000m、我々が3時間かけるところを15分で駆け上れる彼ら。走る時にしっかりと開かれる彼らのひずめは、雪深い中でも簡単に移動する事を可能にしている ( かんじきのシステム ) 。
③ Marmotte マルモット ( リス科、マーモット )
山岳地帯や草原の、一般には巣穴の中で共同生活をしており、冬季 ( 10月~4月 ) は冬眠する。3kgほど冬眠中に失った体重は夏の間に草、果実、コケ、木の根、花などをしっかり食べて ( 草食性 ) すぐにもとに戻る。
巣穴の中には寝室やトイレや幾つかの出入り口が備えられている。
大部分のマーモットは社会性の高度に発達した動物で、危険が迫るとホイッスルのような警戒音でお互いに知らせ合う。
④ Mouflon モーフロン ( 羊科、ムフロン )
通常、険しい山岳地帯の森林付近に棲息し、冬になると標高が低いところへと降りてくる。ここのモーフロンはコルシカ島から来たもの。
体調1m、成長したオスで50㎏、メスで35㎏。赤茶色した短い毛をしている。
オスは角を持ち、成熟したオス羊の角の長さは約85㎝でほぼ一回転している。メスの40%は15㎝程の短い角を持つがその他は角を持たない。
怖がりで群れをなしているが、繁殖力、生存能力が強い。
⑤ Chevreil シュヴルイユ ( ノロ鹿 )
体長約100 - 130cm、尾長約5 cmと小型のシカ。
体毛は、夏毛は赤褐色で、冬毛は淡黄色である。喉元には多彩な模様を持つのがこの種の特徴である。臀部に白い模様があるが、雌雄で形は異なる。
角はオスのみが持ち、表面はざらついており、先端が三つに分岐している。生え変わる時期は冬 ( 秋に落ちる) 。
夜行性で夕暮れや夜明けに活発に活動する。
⑥ Daims ダム ( ダムシカ )
ヨーロッパから小アジアにかけて分布。至る所に移入され繁殖している。
体長100-190cm。肩高90-110cm。体重40-100kg。メスよりもオスの方が大型になる。
先が手のひら状に広がっている角をもつ。体毛は黄褐色のものが多く、夏毛には白い斑点があることもある。下顎から腹面、四肢の内側には白い毛が生える。
繁殖期 ( 9,10月 ) になるとオスが小さな縄張りを作って集まり、メスはその中から相手を選ぶ。
⑦ Cerf Sika セルフ・シカ ( 日本鹿 )
頭胴長110-170cm、尾長8-20cm。全身は茶色だが、尻の毛は白く縁が黒い。夏には胴体に白点が出現し、冬になるとほぼなくなる。
オスは枝分かれした角を持ち、春先になると落下し新たな角に生え換わる。
森林や草原などに生息し、主に薄明薄暮性だが狩猟期には夜行性となる。
植物食で、草や木の葉、ササ、果実などを採食し、餌の乏しい冬季には樹皮も食べる。
交尾期は9-11月で、オスは「フィー」と聞こえる鳴き声を発し求愛を行う。メスは交尾後、5-7月に1頭の子を産み、子は生後2年で性成熟する。
⑧ Lama ラマ ( リャマ )
体高約1.2m、体重70-140kg。南アメリカのアンデス地方に多く住む。
姿はラクダと似ているが、背中にコブはなく、全身が毛で覆われている。白い毛のものと茶色の毛のもの、白と茶色がまだらになったものがいる。
足から頭までの体長は1m程度。頭から尻までの長さは2m程度。まつげが長く目がパッチリしている。犬歯はオスのみが持つ。
性格はおとなしく、人に慣れやすい。
ヨーロッパでは毛や皮を衣類に用いている事が多い。
駐車場、公共トイレも併設され、バス停もすぐ目の前にあるのでとても便利。
今回行った際には写真右の様なレストランが湖畔に出来ていました。
ただし、こちらは賛否両論。
便利になったと言えばそうなのでしょうが、自然の中に、自然の景観を壊してまでこんな物を作る必要があるのか、、、と。
レ・ズッシュの町自体も含め、シャモニーに追随するかのように昔ながらのサヴォワ風の建物はどんどんなくなり、近代的な建物が立ち並ぶようになってきているのです。
釣り場を管理していた高齢の女性としばらく立ち話していたのですが、「温かみがなくなり、ビジネスばかりを感じるようになってきた」と。
レ・ズッシュはシャモニーとはまた違った昔の面影を残す山村として好かれてきたのに、シャモニーに勤務する人達のベットタウンと化し、今では物価も家賃もシャモニー並み。
賃貸物件も利益がより大きい週単位がほとんどで、年間、或いはシーズン貸しを見つけるのは至難の業になってきています。
* サヴォワ人はあまりにお金に執着する為、彼らは窓からお金を外に放り投げるのではなく、外から中にお金を投げ入れるなどと描写されています。
それでもまだシャモニーより静けさの残るレ・ズッシュには夏・冬どちらも見所が沢山あるので機会があればぜひ立ち寄ってみて下さい。
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