今日でも相変わらずの失業者数、増加一方の税金、、、等々でそのブームは収束する気配はないようです。
「起業の実態」が2010年4月1日付けニュースダイジェストの記事で良く説明されていましたので、引用させていただきます。
起業ブームの背景 → 2009年1月に施行された「 個人事業主制度(auto-entrepreneur)」による起業者数の増加。
「 個人事業主制度 」
・ 個人企業の形態のひとつ。
・ 手続きが簡単な上、職の有無を問わない(事業内容により、自宅からインターネットで手続きを済ますことも可能)。
・ 支払う社会保障費が収入の額によって決まり、最低支払額がない。
=売り上げが無ければ税が免除される為リスクが最小限に抑えられる。
(売上額については、毎月、または3カ月毎に売上額を申告する必要あり。)
・ 一種の地方税である地域経済拠出金の支払いが3年間免除されるほか、付加価値税(TVA)の徴収も免除される。
・ 外国人であってもフランスでの滞在許可がある人であれば、ビザの種類は問わず登録できる。
ただし、年間売上額の上限が職種によって32,900€(サービス業)から82,200€(小売業)と設定されており、あくまでも小規模なビジネス向き。
* フランスで最も多用されている起業形態 : 株式会社(SA)/ 単純型株式資本会社(SAS)/ 有限会社(SARL)
① 単純型株式資本会社と有限会社
出資者が1名からでも可能な点、最低資本金の定めがない点などが株式会社と大きく異なる。
まずは小さく事業を始めたい人に向いている。
② 株式会社
7名以上の出資者が必要。
株式の公開発行や社債公募を行うことができるという利点があるため、事業を拡大し、多額の運転資金を
必要となる場合などに向いている。
手軽さに惹かれて起業する人が多い ため、個人が自宅でできるサービス業、 業務サービスやコンサルティング、あるいは小売業が多い。
例 : サービス業 → 園芸、家事支援 に関するものなど
小売業 → インターネットを活用した通信販売など
なお、建設業などはサービス兼小売業に入ってくる。
個人事業主の65%は 男性で、女性は35%。
男性は小売、建設、業務支援などで起業するケ ースが多く、女性は業務支援、小 売、サービス業などが多い。
起業する人の平均年齢は39歳。
年齢内訳では30~ 39歳が29%で最も多いなど、いわゆる働き盛りの人の起業が盛ん。
60歳以上 の人々も積極的に起業しているが、特に教師・福祉職・看護師などの専門職にあった人がそれぞれの専門分野
起業するなどの例が目立つ。
個人事業主制度が、定職に就いている人のサ イドビジネスや、定年退職者の年金外の収入になり得るために、起業の道を選んだ人が少なくないということが 分かる。
政府の目的
① 特技を活かした事業を振興することで失業者数を減らすこと。
② サイドビジネスや事業の創造によって経済活性化を図ること。
③ インターネット通販などにおいて頻発していた小規模な不正取引を減らし、その分の徴税を確実にすること。
ただ、以下の様な問題のケースもあり。
企業が社会保険料などの負担を軽減するために、社員として雇う代わりに個人事業主として起業させ、その後業務契約を締結する。
彼らは実際には社員と同じような仕事をしているにもかかわらず、正社員としての権利を持つことができない。
個人事業主が不法労働者だとしても、正社員ではないため、業務契約を交わした企業に法的責任を問うことができない。
注意点
① 税制の面で売上高が最高額を超えたり、また逆に2年間以上売上がなかった場合には、個人事業主制度とは違う形態
に移行しなければならず、最低支払額を含めた税金負担が増加することになる。
② 登録してから3年が経つと、地域経済拠出金の免除がなくなり、売上高と関係なく年間200~2000ユーロ程度
の支払いが 発生する。
(個人事業主制度自体に、事業家としての訓練を積ませてやがて本格的 な事業に発展させることを促す面がある為)
③ 個人事業主制度による社会保障・税金負担額が表面上は軽く見えるが、利益ではなく、売上高が課税されることから、
負担は実際に軽いかどうかはケースバイケースであると考えられる。
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