Galette des Rois ギャレット・デ・ロワ

1月に入るとどこのパン屋・お菓子屋でも店頭に飾られるようになるのがこのお菓子。

 

「Galette des Rois ギャレット・デ・ロワ」

 

Galette とは円系の平たいお菓子を表し、Roisとは王様達のことで、合わせて「王様達のお菓子」という意味。

 

起源は遡ることローマ時代、saturnales サトゥルヌフ(農耕の神)を崇める7日間に渡るお祭りの期間中に親しい仲間にお菓子を送るという習慣が発生し、それが旧体制下(フランス革命前)、納付金(税金)を納める際にこのお菓子も共に領主に献上しなければならなかったことから le gâteau des rois 王様達(へ)のお菓子」と名付けられるようになったのだそう。

 

 

そして1801年に1月6日(或いは1月2日から8日までの間の主日=日曜日)と定められた公現祭( 或いは fête des rois 賢人祭 )。

東方からキリストの降誕祝いにベツレヘムに駆け付けて来た3人の rois mages( 東方の三賢人 )を記念して祝われるようになったこのお祭りですが、19世紀以降この日は「王様の日」とも呼ばれるようになり、フェーヴ(陶器で出来た人形)とギャレット・デ・ロワが東方の三賢人への供物の象徴となり、今日ではこの日にギャレットと呼ばれるこのお菓子を皆で分けて食べるのが習慣となっています。

 

最も一般的なものは上の写真の様に、紙の王冠がのった折りパイにフランジパン(アーモンドクリーム)が入ったパイ菓子で中にフェーヴ( fève ソラマメという意味 )と呼ばれる陶製の小さな人形が一つ入っているもの。

 

ロワール川以南ではブリオッシュ生地で作る上に砂糖の塊を振りかけたシンプルな「 ブリオッシュ・デ・ロワ 」が、

プロヴァンスやラングドックでは「 ロワイヨーム 」と呼ばれる砂糖漬けフルーツの入ったブリオッシュが、

そしてボルドーでは形は同じながらコニャックで香りとつけた別名「 トルティオン 」が好まれているようです。

 

これらのギャレットの中には fève フェーヴ と呼ばれる人形が必ず入っていると上記しましたが、元来はその名前の通り本物のソラマメを入れていたらしいです。

 

その後1870年頃から陶製の人形が使われるようになったようですが、そのフェーヴの入った一片を見事に食べ当てた人は「 roi 王様 」と呼ばれ、冠をかぶり「王妃(或いは王)」を選ぶことができるのです。そして王様になったその日一日は皆から祝福され、そして幸運がその年中継続するといわれています。

 

 

家族が集まった中で一番小さい子供をテーブルの近くに呼び、目隠しをさせて大人の誰かが切り分け、この子供に誰に配るかを指名させ、そしてフェーヴが当たった者は次の週末の会食の際にギャレットを自作するか購入して皆に供する、というのが伝統なのだそうです。

私の勤務している所では一般的なフランジパンの他に、写真中央の様なアブリコット味も販売しています。

アプリコット!?と最初は思ったのですが、こちらの方がしっとり感があり驚くほどに美味でした。

 

左の写真はこれらのギャレットの中に入っているフェーヴのコレクション。

上質感を出したかったのでしょうが、あまり子供には人気でないとのこと(従業員・顧客談)。

確かにモノトーンで楽しみに欠けているかもしれませんね。やはり「人形」が一番。来年に期待しましょう。